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危険負担の問題

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危険負担」の問題
これは、民法の原則(民法536条)として、債務の一方が無くなれば、もう一方の債務も消滅するというものがあり、債務者主義等と言われているところ、一律にそうではないというのが、この「危険負担」の考え方で、債務者主義ではなく、債権者主義がとられる事もあるというものです。

債権者主義がとられるケースは、特定物の場合で、契約の対象が特定されているモノである場合は、一方の債務の履行が不能になっても相手方の債務には影響を与えず、履行しなければいけないということになります。

何のこっちゃ?ややこしいですよね。この債務者主義や債権者主義といった言葉はどうでも良く事例で覚えておくと宜しいかと思います。

質問1
当社は家電の卸売販売をしております。取引先と冷蔵庫30台の売買契約が成立し、倉庫に保管していたところ、震災で全て流れてしまいました。
契約はどうなるのでしょうか?

回答1
これは、ある倉庫内の冷蔵庫ではありますが、目的物が特定されているとは言えないですよね。
※特定しているケースもありますので注意が必要です。
この場合、同種同等の冷蔵庫を調達することが出来るので、冷蔵庫引渡債務は、履行可能であり、同等同数量の冷蔵庫を提供するよう求める事ができ、当然支払い債務も消滅しません。

質問2
デパートで絵画を購入しました。既に支払いを済ませ、あとは配送されるのみだったのですが、地震が起き、その絵画が損壊してしまったというのです。
この場合、デパート側に代金の返還を求める事は出来ますよね?

回答2
いえ、出来ません。これが債権者主義というものです。
絵画は、まさにそのものを特定していますので「特定物」にあたります。これが不可抗力によって損壊した場合、その引渡し債務は、履行不能により消滅します。ところが、この「特定物」の場合は、例外的に支払い債務は残るため、買主は代金の返還を請求出来ないのです。

何か、納得できないですよね。
この債権者主義は、買主に酷であることがありますので、特に住宅などのケースでは、引き渡しや登記が終了するまで債権者主義を適用するべきではないという考え方があり、個別に特約を結ぶケースが御座います。

いつ何処で震災が起きてもおかしくない国ですので、特に住宅のケースなどでは、契約時の特約に注意したいですね。

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