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プライバシー権の侵害

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プライバシーと聞くと皆さまはどの様な事を想定されますか?
(プライバシーは、日本語では「私生活」を表すことが多いでしょうか。)

プライバシー権の侵害などとよく言いますが、実は法律上「プライバシー権」なるものは御座いません。

これまでの判例が蓄積され、人の権利として認められるようになったものなのです。私生活上の事を他人にみだりに公開されない権利です。

主にプライベートな情報として守られるべきとしているのが、以下の情報です。※但し、これも判例上認められたものです。

・住所
・日常生活
・持病
:前科や犯罪情報
・身体的特徴

広く世間に公開されていなく、また知られたくもない情報がプライバシーとして守られています。

では、前科であってTVニュースなどで有名になった事件であれば、それを改めて発表するのはプライバシーの侵害にあたるのでしょうか。

これも判例が御座います。
事案:
ある作家が、実在の事件で傷害致死罪に問われ懲役3年の実刑となったXについて、Xが無罪であったことを主張する趣旨で事件後約12年経てノンフィクション作品として発表しました。
Xは、出所後、その就職や結婚をするにつき、事件の事は一切秘密にしており、周囲で知る人はいなかったのですが、その作品により、知られることとなった為、プライバシー権の侵害に基づき慰謝料を請求しました。

裁判所の判断:この作家に慰謝料50万円の支払いを命じました。

名誉毀損と同様、慰謝料の金額が低いと思いますが、それはさておき、裁判所は「犯行後相当年月が経過し、刑の執行が終わっていれば前科に関する情報は未公開の情報と同様である。」と判断し、法的保護に値するとして、プライバシー権の侵害を認めたのです。

結局、この件は和解し、仮名でテレビドラマ化されていますが、その事をもってプライバシー侵害は否定されないとされています。

過去に周知となった犯罪歴でも、時が経てば侵してはいけないプライバシー情報として守られるのですね。

皆が知っているから、といって安易に他人のプライベートをSNS等に上げることは避けましょう。

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