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災害の特別措置法

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災害の特別措置法についてご紹介します。

これは東日本大震災を期に施行されたものですが、特定非常災害と指定された際には様々な特別措置が施されます。

細かなところは追ってみていきますが、
■ 行政上の権利に関わる満了日の延長
■ 期限内に履行されなかった義務に関わる免責
■ 法人の破産手続開始決定の特例
■ 民事調停申し立て手数料の免除
■ 建築基準法及び景観法による仮設住宅の存続期間の延長
などが御座います。

どれも基準を緩めたり、期間を延長するものです。

これは非常事態なのですから当然ですよね。

しかし、注意しなければいけないのは、いつまでも延期されるわけではなく、あくまでも延長であるという事です。

例えば、行政上の権利の満了日として思い浮かぶのは、運転免許の更新です。
同法によると
「行政上の権利利益について、存続期間が満了前であるものを保全し、又は存続期間が既に満了したものを回復させるため、必要があると認めるときに、特定非常災害発生日から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日を限度に有効期限を延長する」とされております。

現に、東日本大震災の際は、同年8月31日まで延長しました。
仮設住宅などは非常に重要ですが、これも法律を一切無視して良いものではなく、建築基準法の適用を受けないのは3ヵ月までで、それ以上は、2年以内という限度で許可を取らなければいけません。

勿論、この期間内では、被災者の住宅需要に耐え得る状況でない場合は、安全面、衛生面も総合的に考慮し1年以内に限って延長できるものとしています。
景観法も同様の基準を設けています。

この様に、期限付きでいろいろ配慮されているのですが、では、民間の賃貸契約などはどうなっているのか、大家さんと居住者の関係など気になりますよね。

では、民間ではどうなるのか、法律の細かい話しではなく、知識として幅広く知って頂く為、なるべくシンプルに1問1答形式でご紹介出来ればと思います。

質問1
地震で建物が倒壊した場合、賃貸契約はどうなりますか?

回答1
通常、建物自体が無くなった場合は、契約の対象が無いので、賃貸借契約は終了します。
ただし、「滅失」した場合に限り、罹災法が適用され、その借地や借家に対し優先権を取得します。建て直された場合に優先的に住むことができ、つまり
元々の賃貸借契約は終了してしまうのですが、他の人に優先した強い権利を
取得するという事です。

質問2
滅失とは、どんな状態ですか?

回答2
基本的には、完全に倒れてしまって住めない状態の事です。

しかし、半壊はどうでしょう?実際に住める状況でしょうか。

地震保険では4段階に分けられており、

全損
大半損
小半損
一部損

いわゆる半壊の状態を2つに分けていますね。

これは、あくまでも保険会社が主要構造部の損害の程度や損害額を基準に分けているものであって、家財に関しては明確で、

大半損は、家財全体の60%以上80%未満
小半損は、家財全体の30%以上60%未満

を対象にしております。

そして、其々、保険金の60%、30%が補償されます。

さて、罹災法のいうところの「滅失」は半壊を含むかですが、明確な基準は無く、修復可能であれば滅失とは言えないとしています。

因みに、地震保険は、地震発生から10日以内に受けた被害が対象になっていますので、この点も注意が必要です。

それにしても、滅失とは言えず、罹災法の適用が無い場合でも、一時別の場所へ避難していた場合は、その間の家賃はどうなるのでしょうか、そして、ギリギリ住めるけれども不具合が多く家賃を減額してもらいたい場合は、どうでしょうか?滅失とは言えず、罹災法の適用が無い場合でも、一時別の場所へ避難していた場合は、その間の家賃はどうなるのでしょうか、そして、ギリギリ住めるけれども不具合が多く家賃を減額してもらいたい場合は、どうでしょうか?

質問1
私は大家です。地震で借家は倒壊はしなかったのですが、いろいろ不具合が出て住める状態ではなく、一時避難するので、その間の家賃を免除して欲しいとの申し出が借家人からありました。応じるべきでしょうか?

回答1
はい、応じなければいけません。
これは民法606条によって「家主は、建物が滅失していない限り、借家人に借家を使用収益させる義務を負う」とされているからです。

この条文は非常に重要ですので覚えておくと良いですね。

天災といった人がコントロール出来ない災害が起きた場合でも、「滅失」していない限りは、修繕しなければならず、その修繕が終るまでは「使用収益」させられる状態にないという事になります。
つまり、その期間中の家賃の支払い義務はないという事になります。

質問2
先程の大家です。実は少し離れたところに別の物件も持っており、そちらは不具合はあるものの住めない状態では御座いません。しかし、借家人から不自由なのでその分減額してほしいと言われました。これはどうでしょうか?

回答2
はい、これも先程と考え方は同じです。
借家人は、損傷した箇所の割合に応じて家賃の減額請求をすることが出来ますし、大家は平穏に暮らせるよう修繕の義務があるのです。

質問3
大家です。幸い損傷が軽くすぐに修繕が出来ました。ところが、電気・ガスが止まっている状態が未だに続いており、不自由を強いられているので、家賃を減額してほしいと言われてしまいました。応じてあげたいのですが、大家側でどうこう出来る問題でもなく応じなければいけないものなのでしょうか?

回答3
応じる義務はありません。これも質問1の考え方と全く同じなのですが、大家が借家人に使用収益させる義務を全うしているかどうかがポイントです。
電気やガスを引き込む設備は整える必要がありますが、そこまでしておけば、大家としての義務は果たしております。
あとは、電力会社やガス会社との問題であり、家賃は通常通り発生します。

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