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説明義務違反の慰謝料

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説明義務違反の慰謝料」について紹介したいと思います。

判例は、東京地裁の事案です。

医師の説明義務違反で慰謝料なんて請求出来るの?と思われる方も多くいらっしゃるかと思います。

実際、インフォームド・コンセントと言いまして、「説明 納得 同意」というステップが医師と患者の間では重要だと言われています。

しかし、これは制度上の問題で、医療の現場では、ちょっと質問しただけで怒られたり、へそを曲げられ、以後何も説明をしてもらえなかった等という経験をされている方は少なからずいらっしゃいます。

本来、診療契約という契約の下、診察を受けているのですから、質問出来なかったり、説明をしてもらえない等おかしな事ですよね。

医師だから特別に許されるという事はないのです。

今回ご紹介する判例は、整形外科クリニックでのお話しです。

元々は医療過誤で訴訟を起こしています。

手術前は、日常生活に支障を来すほどの痛みはなかったところ、
当該クリニックで人工股関節置換術の手術をしたら、杖をつかないと歩けない程痛みが悪化したという主張でした。

これに対し、裁判所は、手術の過誤を否定しました。

実際、手術自体の過誤を証明するのは至難の業で、医療裁判で患者側が勝訴するのは非常に困難だと言われています。

今回も手術の過誤だけでなく手術に至る判断の過誤も一切否定されてしまいました。

しかし、裁判所は、「医師が、正しく手術の必要性を説明したならば、了解の上、手術に応じた蓋然性が高い」として、

「患者が十分な情報を与えられないまま手術に応諾したことによる精神的損害」を認定したのでした。

医師と患者の間には知識の隔たりもありますので、医師には重い説明義務が課されていて、それを怠っただけでも、患者側には慰謝料を請求する正当な理由ができるのだという良い判例ですね。

因みに、慰謝料の金額は、30万円でした。

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