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医師の注意義務

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医療トラブル「医師の注意義務」について紹介したいと思います。

判例は、静岡地裁の事案です。

減感作療法って聞いた事御座いますでしょうか。

花粉症などアレルギーでよく行われる免疫療法で、アレルギーの原因物質を少しづつ身体に与えることで、その原因物質に慣らしていこうという治療方法です。

アレルギーの原因になっている物質を身体に入れるわけですから、稀にアレルギーショックを起こしたりショック症状が出る事も御座います。

今回の症例では、スギ花粉の減感作療法でそのショック症状が出てしまい、57日間の入院と342日間の通院を余儀なくされてしまいました。

これに対し裁判所は医師(個人病院)の過失を認めたのですが、この判例では、医師がどういう事に注意しなければいけなかったのかを詳細に検討しています。

即ち、

・検査を行い
・適正な濃度・投与量を定め
・ショック症状が出た時に適切な対処が出来るよう30分は経過観察を行う

ことが重要だと示し、それを怠ったとしたのです。

何か言葉にすると当然の事のように感じますが、実際の診療では、どうでしょうか。
医師の経験から検査を行わずに投与することや投与方法などの説明が無いことやその後の経過観察を怠ること・・・

全て全く無いということはないと思いますが、どれも有り得そうな注意義務ですよね。

これを裁判所は具体的に検討し、医師の過失を認め、「その慰謝料は、原告の主張する140万円をくだらない」と判示しました。

今回、原告は、請求段階で140万円を請求していますが、裁判所は「140万円をくだらない」としている訳ですから、もっと増額された判決が出てもおかしくなかったとも言われている判決です。

「医師の注意義務」と聞くと何か曖昧な基準なのかとも思われがちですが、医療行為は危険を伴いますので、当たり前の事を当たり前のようにやらなければいけないという事ですね。

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