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詐術

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詐術」についてご紹介します。

Q 私の叔父は、保佐開始の審判を受け、私が保佐人になっています。
その様な中、先日、叔父が知人から頼まれて借金の連帯保証人になってしまった様なのです。
貸金業者から300万円を借り入れた様なのですが、私は、それを聞いてすぐに取り消すべく保佐人として貸金業者に電話を入れました。

ところが、貸金業者は、取り消しを一切認めてくれず、こう言うのです。

「本人が被保佐人であることを全く言わなかったし、それどころか自分は資産家なんだと強調していましたよ。この状況で何で取り消しに応じなければいけないのでしょうか。応じる理由は無いのでお引き取り下さい。」

この貸金業者の言い分は正当なものなのでしょうか?

A 正当とは言えません。

先ず、被保佐人は、単独で契約を締結する等一定の行為が禁止されています。

正確には、保佐人に同意権や取消権が与えられている行為が御座います。

※保佐人に同意権・取消権が与えられている事項(民法13条)

1.預貯金の払い戻し、貸付け、貸金の返済の受領など
2.借り入れ、他人の債務の保証など
3.不動産の売買・賃貸借の解除・抵当権の設定、株式の購入・売却など
4.訴訟行為
5.贈与、和解、仲裁合意
6.相続の承認、相続放棄、遺産分割
7.贈与の申込みの拒絶、遺贈の放棄、負担付贈与の申込みの承諾、負担付遺贈の承認
8.不動産の新築、改築、増築、大修繕
9.一定期間以上の賃貸借

これらの行為を被保佐人が単独でした場合、基本的に取り消しできます。

ただし、取り消しが出来ない場合があります。

それが「詐術」です。

詐術とは、人を騙す手段のことです。

詐術をもちいて相手方に行為能力者であることを信じさせたような場合は取り消すことが出来ません。

これは何となくわかりますね。

敢えて騙そうとして騙したわけですから、行為能力者であると信じた取引の相手方を保護する必要がありますよね。

では、今回の様に保佐人であることを黙っていただけの場合はどうでしょうか。

これは、詐術にあたりません。

しかし、他の言動と相俟って、相手方を誤信させ、または誤信を強めたと認められるときは詐術にあたるとされています。

ん?待てよ、今回黙っていただけでしたか?
黙っていただけでなく、資産家だと強調していましたよね。
その場合はどうでしょう。

この発言も、単に口をついて出てしまっただけであって、相手を誤信させよう、行為能力者であると騙してやろうといった意図で出た発言とは言えないですよね。

よって、この発言だけでは、詐術にあたるとは言えません。

それなのに取り消しに応じないという貸金業者の対応は正当なものとは言えず、保佐人による取消権を主張できます。

相手が貸金業者であるからといって臆する事はありませんので、根拠に基づいた正当な主張をしていきましょう。

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