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個人の不法行為責任

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「国立大学教授 個人の不法行為責任

事例は、某国立大学、大学院教授が留学生に対しセクハラ行為を行ったというもので、当該国立大学と大学院教授個人を相手取りそれぞれ慰謝料500万円ずつ請求する民事訴訟を起こしました。

これに対し、

大学院教授本人は、

「公務員が公権力の行使としてその職務上行ったものであるから国賠法により、民事上の損害賠償責任を負わない。」と主張し、

大学側は、

「セクハラ防止の為の指針を定め、防止対策委員会を設置する等対策はしていたし、当該教授のセクハラ行為に対し予見したり防止することが出来る状況になかった。」として、原告への信義則上の義務違反はないと主張しました。

先ず、教授本人。

これは滅茶苦茶ですね。国賠法によって公務員は守られていると勘違いしている様ですが、それは「職務上行った」ことに限られます。

今般のセクハラは教授と学生との懇親会後にホテルのラウンジやエレベーター内、帰りのタクシー内で留学生の身体を触るなどしたものであり、
これのどこが「職務上行った」ことなのでしょうかね。
勘違いも甚だしいという事で、200万円の慰謝料が認定されています。

セクハラの慰謝料としてはやや高額ですが、制裁的な意味合いもあったと解釈されています。

一方、大学側に関しては、

当該教授の行為は、その行為の内容、外形に照らし、公務員が職務を行うについてされたものとは言えないので、先ず、国賠法上の責任は、学校には御座いません。

その上で、良好な学習、研究環境が害されることのないようにする信義則上の義務違反があると原告が主張した点についても、常日頃から指針を定め、セクハラの発生防止に努めていたこと、今回の被害を申告された際に、被害者の心情にも配慮し当該教授の懲戒手続きも進めていたこと等から信義則上の義務違反も認めることはできないと判示しました。

やはり国立大学に対する民事上の責任追及はハードルがかなり高いということがわかりますね。

一方、公務員個人に関しては、その職務上と関係の無いことでも国に守られていると勘違いしているケースがありますが、職務と関係の無い不法行為に関しては、きっちりと罰せられますし、今回のように制裁の様な形で高額な慰謝料が認められることもあるという事例的な判例のご紹介でした。

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