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職場のセクハラで親に慰謝料

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職場のセクハラで親に慰謝料?」について

当該事件の原告は、当時18歳のアルバイト女性でした。

会社はアパレル系で、指揮監督する立場にあった男性社員が、残業で残った当該女性に対し、性行為を強要するなどのセクハラを3度にわたり行ったというものでした。

社員が優越的な地位を利用してアルバイト女性に手を出すなど、有り得そうな事件ですが、当該女性はこの事件をきっかけにPTSDに罹患し、希死念慮にもかられるようになり何度も手首を切る自傷行為に及んでしまうところまで追い込まれてしまいました。

PTSDと聞くと、大きな災害や重大な交通事故などを思い浮かべる方も多いかと思いますが、実際は、様々な心的ストレスで発生します。

医学雑誌には、
「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは、命を脅かすような強烈な心的外傷体験をきっかけに、時間が経過してもフラッシュバックや悪夢による侵入的再体験、イベントに関連する刺激の回避、否定的な思考や気分、怒りっぽさや不眠などの症状が持続する状態を指す」としています。

本件は、PTSDと診断されていること、そして実際に自傷行為にまで及んでしまっていることが、「原告の生命侵害に比肩する」として、両親の被った精神的苦痛に対し慰謝料を肯定しました。

なかなか職場内で起きたセクハラに対し、その被害者の両親に慰謝料を認めるケースは少ないかと思いますが、その場だけの苦痛ではなく、その後の心的外傷が認められる場合、即ち、PTSDと診断されており「原告の生命侵害に比肩する」と判断される場合には、我が子をその様な状態にまでされた親にも慰謝料が認められるという事例的な意義の大きい判例でした。

因みに、PTSDは医師の問診のみで診断されます。

そして本件では、被害女性本人に200万円の慰謝料
ご両親に20万円ずつの慰謝料が認められています。

生命侵害に比肩すると言っている割には、金額的には少ないように感じますが、これも裁判例として目安になりますね。

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