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名誉回復の措置

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市議会議員の後先考えない投稿について、その後自身のSNSで勝手に謝罪動画を流す等の対応をしていますが、余計被害者を傷つけ、裏目に出ている事がニュースで報道されていました。

ただし、このやり方自体は、咎められる様な事ではないようです。

長崎地判・平元・2・16

タクシー会社が、「運転手が料金を横領した為、懲戒解雇処分とした」事を本社食堂の黒板に大書し掲示したことが名誉毀損に当たるとされた裁判例があります。

事案の概要

タクシーの運転手が、お客さんからチップとして500円を受け取りましたが、これを運転日報に記入しませんでした。
会社は、これを業務上横領にあたるとして懲戒解雇した後、解雇の事実を本社食堂の黒板に約2週間に亘って掲示したのです。

これに対し、裁判所は、そもそもチップについて運転日報に記載しないことは、懲戒理由にあたらず、解雇は無効とした上、従業員多数及び外部の人間もしばしば出入りする場所に掲示することで、当該タクシー運転手の名誉感情を著しく侵害したとしました。

そして、その効果として、慰謝料40万円、弁護士費用10万円を認め、更に「名誉回復の措置」として、掲示場所と同じ場所(黒板)に謝罪文の掲示を指示しました。

損害賠償以外に、同じ掲示場所への謝罪文などが成されるべきというのが裁判所の考え方なのですね。

ただし、その謝罪文は、横領の事実が存在しないこと及び謝罪の文言があれば足り、将来に亘り二度と繰り返さない旨の誓約文は適当でないという見解を示しています。

名誉毀損行為は、被害の範囲も計り知れず、お金で解決出来る問題ではないので、こういった名誉回復措置が認められているのですね。

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