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慰謝料請求する時の情況証拠

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「慰謝料を請求する時の証拠の種類」について解説しましたが、その中でよく話題になる「情況証拠」についてご紹介します。

証拠には一般的に、
1 合理的な疑いを容れない程度に真実であるという程度(確信)
2 事実の存在を肯定する方向の証拠が、否定する方向の証拠を上回るという程度(証拠の優越)
3 一応確からしいという推測を生じさせる程度(疎明)
の3段階があるとされています。

刑事事件に関しては、要件となる事実に1の「確信」が求められる事が多いという事を前回、ご紹介しました。

でも、民事のトラブルでは、そこまでの証拠は必要ないというお話しもしました。

出来れば、「確信」までもっていきたいですけどね。

さて、そこで問題になるのが、直接的な証拠と間接的な証拠の優劣です。

証拠には、直接証拠と間接証拠があります。
この間接的な証拠の事を「情況証拠」と言います。

直接的な証拠は、当事者の供述の事です。
間接的な証拠(情況証拠)は、犯行の可能性を証明する証拠もしくは犯行をしていない可能性を証明する証拠の事です。
犯行をしていない可能性を証明する証拠としては「アリバイ」がイメージし易いですかね。

夫が浮気をしたという場合で考えてみますと、

夫の「浮気をしました。相手女性の「認めます」といった発言は、
それが真実であるか如何かに関わらず、その犯行と直結するものですので、
当事者の供述は直接証拠となります。

一方、当人たちは認めないが探偵を雇ってみたところ、

■メールや手紙のやり取り入手
■電話架電履歴入手
■実際に現場は見ていないが、2人が怪しいと職場で噂になっているという
情報入手
■プレゼントをしたと思われるレシート入手
■二人きりでいるところの写真入手
■休日出勤と聞いていたが出勤していなかった事実入手
■○月○日 ○時○分 二人でホテルへ入るところの映像入手
■同ホテルから出て来るところの映像入手

これだけの情報が入りました。

これは、全て間接的な証拠であり、情況証拠となります。
探偵に頼まなくても、上の4つ位の証拠はあり、証拠として不十分なのかな?と悩むことはあると思いますが、当事者からの供述以外は、全て情況証拠と考えると探偵に頼んで得た証拠も情況証拠という点では変わらないのです。
また、直接証拠に比べて間接的な証拠である「情況証拠」は弱い!と思われがちですが、実はそんな事は無いのです。

判例も「自白や供述といった直接証拠による事実認定の場合でも、直接証拠の信用性に疑いが有る場合は、多々あるのであり・・・直接証拠による証明と情況証拠による証明が、証明の程度について差が有るわけではない。」としています。(最判平成22・4・27)

証拠が多い事に越した事はないですが、証拠集めに奔走するよりは、有る程度の情況証拠を元に主張していき、
当人等からの自白(直接証拠)を得ることが、一番の近道だと思います。

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