身に覚えのないビンテージの洋服をネットで購入した履歴が有ることに気づきました。
もしやと思って問い詰めたところ、大学1年生の息子(18歳)が私のIDとPASSをどこから入手し勝手にネットバンキングを利用していた事が判明しました。
身内なので事件にはしたくないですが、購入先の店や或いはネットバンクの金融機関に対し代金返還を求める事は出来ますでしょうか。
これはどうでしょうか。結論から申し上げます。
18歳で成人しておりますので、未成年行為取り消し(民法5条)は利用出来ず、購入先や銀行に返金を求める事は基本的に出来ません。
先ず、対象がインターネットバンキングですので、預金者保護法の適用はありません。
※預金者保護法の対象に関しては、また別途ご紹介します。
とにかくインターネット経由は対象外です。
この場合、全国銀行協会の定めた独自ルールに基づいて保護される場合がありますが、預金者の過失があるときまで保護はされません。
その過失として有名なのが、犯人の範囲です。
「配偶者、二親等内の親族、同居の親族その他同居人又は使用人によって行われたこと」
これによると、同居していたらアウトですし、息子という事は1親等の親族になるのでいずれにしても保護の対象にはなりません。
購入先店舗は、何の過失も無いですし不正操作による送金であったと知る由も無いのが通常ですので、責任は負いません。
同居の親族による不正利用は、犯罪と言う意識が薄い分、起こりやすいですし保護の対象ではないので注意していきましょう。
また、ネットバンキングの不正利用は何の保護もされないとは本当でしょうか。
金融機関を装ってメールを送りつけ、その本文に記載されたURLからWEBに誘導し、ID・パスワードを不正に取得するといった所謂フィッシング詐欺は後を絶たないですね。
今朝のニュースでもやっていましたが、本物そっくりの画面のため見分けはつかない様ですね。
大切なのは本文のURLからサイトには行かないという事です。
さて、万一被害に遭ってしまった場合、保護の対象ではないのかというご質問ですが、預金者保護法の正式名称は「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預金払戻等からの預貯金者の保護等に関する法律」ですので、キャッシュカードを偽造された場合(預金者保護法4条)と盗まれた場合(同法5条)が対象です。
よって、ネットバンキングの不正利用は、この法律の対象では御座いません。
では、金融機関は何の保証もしてくれないかというとそうではなく、「自主的なルール」として、預金者に過失がない事を証明した場合は、一定の保護を図っています。
過失がない、というのは如何にID・パスワードを管理していたか、パソコンのセキュリティ対策は十分だったか、ダブル認証はされていたか、被害直後に捜査当局へ事情を説明し捜査に協力したか、金融機関への報告は遅延していないか等が問われるようです。
パスワードは、その他サービスのものも含めると多数所持していると思いますし、管理が面倒になってきて杜撰になっているケースもあり、そういう場合は保護されない等自己責任な部分はありますので、日頃から注意しておきましょう。
因みに、先程の盗難の際の保護ですが、盗難の通知をした日から遡って30日までしか保証されませんので、被害後の迅速な対応も重要ですね。