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民法711条

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交通事故は誰も起こしたくて起こすわけではないですよね。

それでも起きてしまう。

それは、大抵の場合、どちらかのちょっとした不注意です。

そして、その事故の加害者になってしまうと、問答無用で3つの責任が課されます。

これは、ご存知の相手への賠償と警察絡みと免許証の点数ですよね。

そう、民事、刑事、行政と3つの責任を負う事になるのです。

民事で賠償したから刑が軽減されたり、点数を軽くしたりという事は御座いません。

3つの責任は独立しています。

どれくらい反省して被害者に賠償して刑に服しても、そして過去3年以内に免許の停止を受けていなくても、6点で停止、15点で取り消し、取り消された場合の欠格期間は1年から5年です。過去3年以内に免許の停止を受けていた場合はこれが更に厳しくなります。
仕事として車を利用している場合は致命傷ですよね。

交通事故の加害者になってしまうと生活が一変する可能性を大いに秘めているのです。
誰しもが加害者にも被害者にもなり得るそんな事件、いざという時に慌てないように知識を蓄えておきましょう。

■質問

15歳の娘が事故に遭いました。
幸い命に別状はなかったのですが、顔にキズを残してしまいました。
娘が相手に損害賠償請求出来るのは当然かと思いますが、
そんな娘の姿を見て母親である私も相当な精神的苦痛を与えられています。
祖母も孫を溺愛していましたので同じく悲しんでいます。
母親や祖母から別途慰謝料請求は出来ないのでしょうか?

■回答

これは、請求権者の問題ですね。

民法711条
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

これによると、請求権者は、「父母」「配偶者」「子」のみということになりますね。

「生命を侵害した者」と記載されていますので、被害者が亡くなったケースでの請求ということになります。

今、「父母」「配偶者」「子」のみと記載しましたが、もう一度条文をよく読むと「のみ」とはどこにも書かれていませんよね。

こういうのを条文の「限定解釈」と言います。

逆は拡大解釈という事になりますが、判例では、「父母」「配偶者」「子」と同視できる身分関係にあり、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者には「父母」「配偶者」「子」と同じように「固有」の慰謝料請求を認めるとしています。

よって被害者が亡くなってしまったケースでは、祖母も請求権者になり得るという事ですね。

さて、今回のご質問は、命に別条が無く、顔にキズを残されてしまった事に対し、
本人以外の家族が「固有」の慰謝料を請求できるか?との事ですが、

結論から言うと、できます。

これも判例は「身体を害された者の家族は、そのために被害者が生命を害されたにも比肩すべき精神上の苦痛を受けた場合、自己の権利として慰謝料を請求できる」としています。

被害の程度によっては裁判官の判断で認められるといったところですが、
これまでの裁判例を見る限り、植物状態や高次機能障害などでは認められやすい傾向にあるかと思います。顔のキズでも著しく今後の生活に支障を来たすような場合は認められる可能性もありますね。

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