さて、「欠席裁判」についてご紹介します。
この言葉は聞いたことある方が多いかと思いますが、正確な意味を把握されていないケースもあるかと思います。
欠席裁判という言葉は、主に被告側が欠席した場合に使われます。
これは、文字通り、裁判に欠席することなのですが、被告が欠席すると必ず原告に勝訴判決が下りるという事では御座いません。
被告が答弁書も出さず、裁判も欠席したら、確かに原告の主張をすべて認めたものとみなす事も出来ますので、原告の勝訴を言い渡す事も出来るのですが、第1回口頭弁論に限っては、
答弁書さえ事前に提出しておけば、裁判に欠席したとしても、答弁書を陳述したものとみなされます。
これは民事訴訟法158条で守られています。
第2回口頭弁論以降はダメなのですが、初回だけはオッケーとされているのです。
では、例えば期日を間違えていて、答弁書も未だ出しておらず、裁判も期日を間違って記憶していたので当日欠席になってしまった場合はどうでしょうか。
この場合、上述したように、原告の勝訴が言い渡される事もあるのですが、救済措置として口頭弁論再開申立書を出せば良い事になっています。
第1回口頭弁論が結審したとは言え、その判決の言い渡しには1カ月ほどかかりますので、
その間にこの書面を提出します。
では、原告が欠席した場合はどうでしょうか。
自分で訴えを提起しておいて欠席とは、なかなか有り得ないと思われるかもしれません。
実際、裁判所も訴えを取り下げたものとみなすことができ訴え自体を消滅させることになっています。
しかし、これも1カ月以内に口頭弁論期日指定申立書を提出すれば、改めて第1回口頭弁論が開かれる事になっています。
これは、民事訴訟法263条で守られています。
この様に欠席裁判と言いましても、「裁判に欠席すると負ける」という解釈は、必ずしも正しくはなく、第1回に関しては臨機応変に対応してもらえるようですね。
そもそも訴訟を進行させるためには、予め定められた期日に出頭しなければいけないのが原則です。
ただし、1回目だけ多目に見られているのは、第1回の期日に限っては、原告と被告の予定に関係なく裁判所の都合で指定しているのも大きな理由かと思われます。
この期日の指定・変更は、必ず認められるとは限りませんので、極力守った方が良さそうです。
また原告からの申請は認められやすく、被告からのそれは認められにくい等の事情もあるようですので、その点も覚えておくと良いでしょう。