Loading

戸籍は相続人を確定

LINEで送る
Pocket

退職代行の利用が増える様ですね。

当事務所にもそういったご依頼がありますが、退職だけでなく、部活を辞めるのに代わりにその思いを記載しつつ退部届を内容証明で送るようなご依頼も御座います。

我々が若い頃は、一度入った部活は3年間続けるのが当たり前でしたが、最近は1年ごとに更新していくスタイルが多く、柔軟に部活を変更したり兼部などもあり、多様化していますね。
良し悪しはともかく、代行できる先や相談できる窓口があるというのはいい事ですね。

さて、相続のなかで戸籍のお話しを致します。

■ 質問1

戸籍は「相続人を確定させるため」に必要と聞きましたが、兄弟2人しかいないし、うちは複雑な家族構成ではないので直近の戸籍だけでいいのでは?

■ 回答1

確かにそう思いがちですし、他に相続人がいた等、考えたくもないですよね。
他に相続人がいるケースとしては、先妻に子供がいた場合や誰かを認知していた場合に起こります。
それと、昔はこの逆もあった様なのです。
逆と言いますのは、自分が父親の相続人だと思っていたのに実は違ったというケースです。
戦争未亡人の再婚などはよくあった話しのようですが、連れ子は再婚した夫との間で養子縁組をしなければ相続人にはならないのです。
ショッキングですが、戸籍を見て初めて気付くという事もあった様ですね。
それ以外にも、戸籍を遡る理由は沢山御座います。
それは、現行の戸籍の在籍者が「一の夫婦とその子」までで、結婚すると両親の戸籍からは出てしまいますし、本籍を移転した場合にも転籍先で新たな戸籍が作られることになったり、法律により戸籍が改製される場合も御座います。

■ 質問2

戸籍が揃わないままのリスクってありますか?

■ 回答2

これは、後から相続人だという人が出て来るケースですね。
よくドラマでありますよね。
そう言う事が無いように出生から死亡までの全戸籍を取って、相続人を確定させる必要があるのですが、例えば真っ先に思い浮かぶのが、被相続人の預金の解約です。
これは、相続人全員の同意を得なければなりませんが、後から出てきた相続人は同意していません。既に解約され遺産相続が成されたとすると、その解約に応じた銀行等が訴えられる可能性もあるのです。
そのため、金融機関は、戸籍が揃わないままだと解約に応じないですし、ここでも全戸籍が必要とされるのです。
※金融機関によっては、16歳くらいからの戸籍があれば応じるところもあるようです。養子縁組制度との関係でしょうか・・・

戸籍は、シンプルになりましたが、シンプル イズ ベストでもないようですね。

相続時の戸籍取得は、侮る事勿れ、ですね。

■ 質問3

相続に順位があると聞いたのですが何ですか?

■ 回答3

法定相続割合と言いまして、実際に相続が始まった際に、誰がどれだけ遺産をもらうのかの順位が決まっています。

まず、配偶者は絶対的に相続人です。

第1順位は、子供です。

第2順位は、直系尊属(父母、祖父母)

第3順位は、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹

と続きます。

先順位の相続人が居た場合にはそれ以降は相続人になりません。

そして順位によって遺産相続の割合が決まっており、

第1順位、つまり子供が相続人になる場合は、配偶者2分の1、子供2分の1の割合です。

子供が複数名いる場合は、その2分の1を等分します。

第2順位、つまり子供がいなく父母や祖父母が相続人になる場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1の割合です。

第3順位、つまり、子供、直系尊属もいなく被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合です。

細かい事を言えば死亡、欠格、廃除の際の代襲相続もありますが、大きくはこの割合を把握しておくと良いでしょう。

相続人の確定に戸籍の遡りが必要だというお話しをしてきましたが、もし、子供がいなく、既に父母、祖父母も亡くなっている場合は、上述のように被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。第3順位のケースですね。

この場合は、既に祖父母、その前のご先祖も亡くなっていることを証明しなければいけませんので、相当大変そうですね。

母方のご先祖となると他の市区町村からの取り寄せが必要になったり等かなり大変な作業になってきますね。

さらに兄弟姉妹も亡くなっていて代襲相続が発生しているとなると、甥姪の戸籍も必要??

考えただけで大変そうですね。

■質問4

外国人と結婚した場合は、同じ戸籍に入籍できますか?

■回答4

かつての国籍法では、日本の男性と結婚した外国の女性は、その日本人男性の戸籍に入籍していました。
しかし、現在は結婚しても夫婦の国籍が変わるわけではなく、帰化した場合は国籍が変わるという取り扱いになっています。
よって、現在の戸籍では、日本国籍をもたない外国人が戸籍に記載される事は無く、日本人は戸籍から除かれる事はありません。
一方で、外国人と結婚して、その外国人の氏に変更した場合は、婚姻後6カ月以内に届出をする必要はあります。
そうすると戸籍に夫は載らないけれど、名前が変わっているというのは不自然ですし、戸籍が身分関係を表すという意味では矛盾しますよね。

そこで、戸籍の身分事項のところに

「いつ どの国の 誰と婚姻し入籍したのか」そしていつ氏変更届を出したのかが記載されます。

因みに余談ですが、外国人は、マイケル・ダグラスのように名前が前にきていることがありますが、日本の国籍に記載される場合は、必ず氏が先に記載されます。

■質問5

トランスジェンダーで性別を変更しました。戸籍上はどうなりますか?

■回答5

戸籍上も性別変更が成された旨、新しい氏名が記載されます。

ただし、そのトランスジェンダーの方の元の戸籍では、除籍のみが記載され、
除籍の理由としては、「令和6年5月28日法律第●号●条による裁判発効同月●日記録嘱託東京都武蔵野市●●に新戸籍編成につき」と記載されます。

これだけ見ると、性別取り扱い変更の審判のことを示しているとは気付かないですよね。

そして除籍されたあと新しい戸籍が編製されますが、そこにもどういう審判を
経たかは記載されず、名前が太郎から花子に変わったという事が記され、また父母との続柄が「長女」に変わった旨明記されます。

因みに、性別変更の手続きは家庭裁判所でやりますが、条件は6つあります。

1.2人以上の医師により性同一性障害であると診断されていること
2.18歳以上であること
3.婚姻をしていないこと
4.未成年の子がいないこと
5.生殖腺がないことまたはその機能を永続的に欠く状態にあること
6.他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

※5は変更の可能性あり

関連記事

  1. 日影規制とは(日照権の侵害) 
  2. 交通事故、加害者の誠意
  3. 心裡留保
  4. 社会的妥当性の範囲
  5. 名誉毀損
  6. 相続人不存在
  7. 著作権商法
  8. 近隣のプライバシー
PAGE TOP