震災後の仕事等について
質問1
当社は、被災したため、震災前に進行していた取引を履行できなくなってしまいました。この場合、損害賠償などの話しになりますか?
回答1
なる可能性はあります。
いわゆる、債務不履行による損害賠償義務の関する問題です。
債務が履行できない場合として、履行不能、不完全履行、履行遅滞が挙げられますが、今回の様な震災の場合、「帰責性」と「信義則」がポイントとなります。
まず、「帰責性」
これは、債務者にどれだけ責任があるの?という考え方です。
通常、震災の場合は、不可抗力によるもので、債務者側に責任はありませんよね。例えば、道路も崩壊し運送手段が完全にシャットアウトしているケースでは、商品の納品が出来ませんが、これは不可抗力ですよね。
しかし、震災の場合は一律に不可抗力という事で片付けられず、例えば、交通手段は回復したものの物価高騰、燃料高騰などの理由で納品できない場合はどうでしょう。
これは完全な不可抗力とまでは言えないですよね。
この場合に出てくるのが「信義則」の問題です。
これは民法の一番最初に記載されているもので、
信義誠実の原則
「社会の一員として、互いに相手方の信頼を裏切らないように、誠意をもって行動しなければならない」
というものです。
法律の条文というよりは、倫理観のようなものですね。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、実はビジネスの場ではよく使われていて、特に法律の条文では判断できない事情が起きた際に、お互い正しく誠実な行いを考えて実行しましょうという考え方です。
震災直後には出てこないのですが、震災から時間が経つほどこの「信義則」の考え方が出てきます。
一大事なときこそ、相手方を思い誠実に行動していれば、信頼も得られ、
その後のビジネスにもつながっていくものですよね。
ときに、個別の事情に併せて、契約内容を変更するなど、信義則に反しないかどうかを基準に考えられます。
質問2
逆にこちらが債権者側なのですが、債務者が震災を理由に債務に添った履行をしてくれません。その場合、代金は支払わなくて良いですよね。
回答2
そういう場合もありますが、これは「危険負担」の問題になります。