「成年後見人制度」についてご紹介します。
ここ数回、制限行為能力者や成年後見人という言葉が出てきましたが、「うちの親も認知症が進んでおり、後見人の様な方を付けなければいけないのか、でもどの様な人が選ばれるのか不安です。全く家族と合わない偉そうな人に急に仕切られるのも嫌です。」というお声を頂きました。
そこで、成年後見人制度ってそもそも何なのか、誰がどの様な基準で選ぶのか、簡単に触れておこうと思います。
成年後見制度とは、一言でいうと大人を守る制度です。
徐々に認知能力が衰えたり、病気になってしまったりしたときの、その方自身の財産の管理やその他生活全般をサポートするもので、信頼できる第三者として家庭裁判所が選任します。
昔は当然に配偶者が就任する旨が規定されていたのですが、民法改正に伴ってその規定は削除されました。
今、親族が選ばれる確率は2割もいかないと言われており、弁護士をはじめ士業と言われる方々が就任するケースが多いかと思います。
法人に人格は無いのですが、法人も就任可とされていまして、該当する方の財産の状況や生活の状態によってはそのほうが良い場合もあり、社会福祉法人などが適格団体として選任されることが多い様です。
さて、では家庭裁判所は実際にどうやって後見人を選ぶのか、先ずは欠格事由に該当しない事です。
欠格事由5つ
- 未成年者
- 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人・保佐人・補助人
- 破産者
- 成年被後見人に対して訴えを起こした者、およびその配偶者ならびに直径血族
- 行方不明者
何か、どれも当然と言えば当然ですよね。
欠格事由に該当しない事を大前提としつつ、「一定の考慮事情」を加味するとされています。
フワッとしていてよく分からないですよね。
それでも、この考慮事情があるから懸念されている人間性の部分もある程度期待できるという事になります。
考慮事情としては、「重要な職責を果たすのにふさわしい人」と裁判所は言っておりますが、成年被後見人の心身の状態や生活状況から考え、それにふさわしい経歴や職歴にある人を選任する様です。
勿論、利害関係にある人は駄目ですが、その他一切の事情を考慮しつつ、成年被後見人の意志も尊重するものとされていますので、意見なども当然言える制度ということになります。
この制度が良いのか家族信託などの制度も御座いますので、ご親族にはどの制度が合っているのか、いろいろ比較されると良いですね。