「長男なんだから2」
Q 私は、長男という事もあり、長年母親を引き取って面倒をみてきました。しかし、生活も楽とは言えないので、これまで私が負担してきた母の過去の生活費を弟や姉に請求したいと思います。これからの請求だけではなく過去のものも請求したいのですが、可能でしょうか。
A はい、可能です。
民法877条の定めはあまりに抽象的であるが故に、各家族に判断が委ねられている部分が多分にあるというお話を先週しました。
昔から「長男なんだから」という理由でいろいろ負担と言いますか、責任を負ってきた経緯はあろうかと思います。
しかし、法律上は、兄弟姉妹は、同順位の扶養義務を負っているのです。
複数の扶養義務者がいて、そのうちの一人のみが扶養権利者を扶養してきた場合、その者から他の扶養義務者に対して過去の扶養料を請求できるか、またその手続きをどうするかに関しては過去から様々な見解がありましたが、現在では、過去の扶養料の求償を認めると考えられています。
求償を認めなければ、冷淡な兄弟姉妹がいた場合、その者だけがずっと扶養義務を免れ続ける事になるからです。
では、何年くらい遡って請求できるのでしょうか?
何か法的な決まりがあるのでしょうか?
結論から言いますと、法的な決まりは御座いません。
ただし、これまで調停や審判で出た結果を維持する形で、東京高裁等で「5年」と判事したケースが有り、一つの目安となっております。
勿論、兄弟姉妹間で合意が取れれば、これよりももっと遡って良いのですが、もめる場合は、裁判所が決めます。
お金のトラブルですので民事訴訟かと思われるかもしれませんが、管轄は、やはり家庭裁判所です。
家庭裁判所は、審判の申し立てを受けると、各扶養義務者の資力やその他一切の事情を考慮して分担の割合を決めてくれるようです。