「命名権の濫用」についてご紹介します。
Q 私たち夫婦に子供が生まれる事となりました。初めての子なので、他の人が考えもつかないような珍しい名前を付けたいと考えていますが、余程変でなければ自由に名前を付けることは出来ますよね。
A いいえ。社会通念に照らし明らかに不適当な名前や子の利益を著しく損なう名前、子の人権を冒涜するような名前を付けることは「命名権の濫用」として許されません。
最近の学校の先生は、本当に大変だなと思うくらい、当て字や通常の読み方と違う名前が増えてきていますね。キラキラネーム等と言われる事も御座います。
本来、名前の命名に関しては、個々に任せ法律が関与すべきではない分野なのですが、一定のルールは必要です。
これまでも、子供の名前には「常用平易な文字」を用いなければならないとされてきました。
具体的には、
常用漢字
人名用漢字(戸籍法施行規則別表第二)
平仮名、カタカナといった制限があり、且つ命名権の濫用はしてはならないとされていたのです。
例えば、制限内の漢字と読み方でも「悪魔ちゃん」というお名前が争われた事案もかつてありましたね。
これは命名権の濫用にあたると判断されました。
また最近では、法制審議会の戸籍法部会で戸籍法改正の要綱案がまとめられましたが、それによると今後の新生児が初めて戸籍に載る際には、併せて「読み仮名」を記載しなければいけない事となりました。
これは来年から施行予定ですが、施工後1年以内に全国民を対象としていますので、我々も本籍地の市区町村に「読み仮名」を届けることとなります。
また、様々な読み方にも一定の基準を設けるべく「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」と制限を設けています。
太郎と書いてジョージ、一心と書いてピュア、希星と書いてキティー
個性的で良いのですが、このあたりは制限を受けそうですね。
母の名前が伸子(のぶこ)で子に伸子(しんこ)と仮名をふって出生届を提出したケースで受理を拒否された事案も御座います。
理由は、紛らわしいからです。
仮名をつけたから良いという問題ではなく、これも一種の命名権の濫用と判断されたのでしょう。
いろいろな人がいますので、制限を設けつつ個別具体的に見ていくのでしょうね。