「得べかりし利益」
会社からずっと差別待遇を受けていた従業員2名が、会社を訴えました。
これに対し、裁判所は、差別を行わない旨の「訴訟上の和解」が成立していました。
何となく円満そうな解決ですよね。
確かにここで終わっていれば円満解決です。裁判所もそういった意図で和解をさせたのだと思いますが、会社は、裁判所の決定を無視し、その後も差別待遇を継続したというのです。
個人間のやり取りでは、裁判所の決定を無視して、また争いになるということは有り得ますが、企業でこれをやったので、裁判所のお怒りを買ったという事例です。
裁判所は、差別行為が無ければ従事できたであろう作業に対する手当だけでなく、時間外手当も損害賠償として支払いを命じました。
そして更に、今回の件は、単なる賃金の不支給に留まらず、意図的に従業員の経済的損失を生み出した行為として不法行為責任も認めています。
これは慰謝料として各50万円でしたが、会社は裁判所の言う事を聞かなかったが為に、得べかりし利益という名の実際には働いていない賃金相当額の支払いと慰謝料の支払いを命ぜられることになったのです。
この様に、社会的相当性から著しく逸脱した行為は、厳しく罰せられるということですね。