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努力義務と慰謝料

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努力義務と慰謝料

婚約当事者は、努力義務を負っており、それに反すると慰謝料請求の対象になります。
婚約破棄でよく問題になるのは、相手側の浮気やDVなどであり、これが慰謝料請求の対象になることは、異論の無いところかと思います。

では、信仰上の違いはどうでしょうか。

判例は、A女(カトリック信者)、B男(仏教徒)

お互い宗教が異なることは認識していながら婚約をしました。
その際、Aの希望により教会で式を挙げることもBは了承していました。

ところが、教会で挙式をする際の誓約事項として、夫婦間に生まれた子供にカトリック的教育をすることという条項があり、Bは、その事を理由として教会で挙式をすることに反対をし始めました。
A及びAの家族は慌てて、そんなに嫌なら教会で挙式を挙げなくても良いと歩み寄ったのですが、Bは、Aに改宗を迫り、終いには婚約を破棄したのです。

これに対し、Aは婚姻予約不履行に基づく慰謝料を請求しました。

結果として、慰謝料30万円が認定されたのですが、

今回は、宗教上の考え方の違いであったところ、他にもこういった意見の相違は多々あると思われます。

そういうもの全てが、婚姻予約の不当破棄とみなされてしまうのでしょうか。

ここで出て来るキーワードが「努力義務」です。

婚約当事者は、その婚約にあたって了解された事項を互いに「尊重」し、「理解を増進」するよう努める義務があるのです。

今回Bは、当初、相手の信仰を尊重していたかと思いますが、その後意見が分かれた際に「理解を増進」するよう努めることなく、相手が折れたにも関わらず、破棄しました。

ここが問題だと裁判所は言っています。

他の判例を見ていても、やはり、このあたりの「尊重」「理解の増進」があったのかどうかがポイントになっているようですので、覚えておくと良いかもしれないですね。

因みに、Aは30万円の慰謝料を請求し、全額認められていますが、
それより多く請求しても30万円程であったであろうと言われており、
努力義務違反となるとその辺りが落としどころかもしれないですね。

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