「中絶の慰謝料」についてです。
通常、お互い合意の上での中絶であれば、慰謝料は発生しないかと思いますが、このケースでは、中絶の慰謝料として、250万円が認定されました。
背景はこうです。
原告女性A
被告男性B
AはBから「妻とはうまくいっていない。いずれは、Aと結婚したい。」などと将来を仄めかされ、約4年間情交関係を継続しました。
その間に二度、中絶をしております。
それでもBを信じ交際を続けたのですが、Bは離婚することもなくハッキリとした態度も示さなかったので、AはBと別れる事を決心しました。
ところが、そんな矢先、再び妊娠していることが判明したのです。
AはBの子を産むと伝えました。
するとBは、Aの出産を避ける為、Aと情交関係を復活させたたり、妻と離婚しAと結婚する意思など全くないのに、そういった意思があるという態度を示し、Aに中絶をさせました。
その後、Bの本心を知り、Aは500万円の慰謝料を請求し、結果、半額の250万円が認定されたという流れです。
これまで二度も中絶をしており、Aにも落ち度はありそうですが、それよりも何よりも、出産を避けるためだけに原告を欺いて中絶させたことの違法性を大きく捉えたところに本判決の特徴があります。
中絶の慰謝料としては、非常に高額ですが、女性に繰り返し中絶をさせ、最後は、別れることになった後に妊娠が発覚していますので、全く復縁する意思など無い中、「中絶をさせるためだけ」でAを騙しているという点に大きな違法性があったということです。
元々既婚者ですし、期待をさせるような言動を繰り返し、それが実現されなかったとしても、それだけで不法行為は形成しないです。
よって、そんな男だってわかっていたでしょう、ということで請求金額は半分に減額されています。