「イジメの慰謝料」についてご紹介します。
慰謝料の金額自体、基準が無いので相場も有って無いようなものですが、「イジメにつき●●円」と認定した判例があります。
中学3年生の事件で、9人の加害生徒により、1人の被害生徒が、殴る蹴るの暴行を受けていたという事件です。
40分にわたって100回近く暴行を受け、加療4週間を要する顔面打撲、右肩峰骨折等の傷害を負いました。
これに対し加害生徒らの保護者は、中学生同士のケンカであるとして不法行為の成立を否定し、更に、子供らは既に中学3年生なので責任能力もあり、親の監督責任は無いなどと強弁しました。
あまりにも無責任な親で許せないですよね。
裁判所は、先ず、傷害慰謝料として270万円を認定しました。
そして親の監督責任ですが、確かに15歳にもなると刑事未成年ではなく、責任能力も認められます。
しかし、だからといって親の監督責任が常に否定される訳では御座いません。
この少年らは、普段から粗暴な行為が多く、所謂、不良グループを結成するなど問題行動が多かったようで、早晩弱者に対するイジメや暴力行為に及ぶであろうことは十分に予見し得たにも関わらず、監督教育など特段の努力をせずにこれを放置したとして親の監督責任、不法行為責任も認めています。
そして、子供同士のケンカ等との詭弁は通用せず、イジメとして認定した上で「イジメにつき90万円」の慰謝料を認めました。
このイジメにつき、というのがポイントですね。
ケガの傷害慰謝料とは分けて認めています。
イジメは犯罪行為です。
この様にイジメ単体でも慰謝料は認められるということをハッキリさせたのは良い判例ですね。