ペットブームで増えているペットの咬傷事件についてご紹介します。
飼い主の義務として一番大切なのは、愛情をもって最期まで面倒をみる事ですが、その他、登録や予防注射などの義務が有ります。
それ以外にもリードでつなぐ事や柵に入れる事等が、条例で定められています。
今回ご紹介する事案は、日中、庭で放し飼いにしていた犬が、脱走し、通行人に咬みついてケガをさせてしまったというものです。
被害者は、ふくらはぎを咬まれ、左下腿部咬創、左膝内障、PTSDと診断されています。
当時、家には、妻だけが居て、夫は仕事中、息子も外出中でした。
さて、この場合、誰が責任を問われるでしょうか?
裁判所の判断としては、以下の様に言っています。
「ペットを飼う場合には、家族全員が日常生活の一部として各自責任をもってするのが一般であるが、本件では妻だけが占有者と認める特段の事情なし。」
つまり、妻だけの責任ではなく、夫、息子にも責任があるとしたのです。
これを「占有者責任」と言います。
その時、その場に居たかどうかではなく、ペットの占有者として認められるかどうかがポイントなのですね。
因みに、この息子は、実家に帰省して数ヶ月しか経っていなかったのですが、ペットを購入した当初、犬の登録をしに行った当の本人だったので、占有者に認定したとの事です。
そして、慰謝料の金額は、何と150万円が認定されました。
咬傷事件としては、高い金額の様に感じますが、今回のケースでは、PTSDが認められたのが大きかった様です。
前に一度ご紹介したPTSDの基準、DSM-Ⅳを用いています。
ステップとしては、大きく2つ、
先ず、
「危うく死ぬ、または重傷を負うような出来事」があったか、そして、それは「強い恐怖、無力感または戦慄」を覚えるものであったかどうか、というものです。
症状が1ヶ月以上続けば、PTSDと認定し得る事になります。
どちらも主観的なもので、人によるところもあろうかと思いますが、PTSDと診断された場合は、高額な慰謝料が認められるケースもあるということを覚えておくと良いですね。