新設条文 第1028条「配偶者居住権」
これは、相続の際、残された配偶者が無償で建物に住み続ける事ができる権利です。
これまで、相続財産が不動産のみで、その価値が2000万円だった場合。
例えば、他に息子一人が相続人だったとすると、ここに住み続けるには、息子に半分の1000万円を支払わなければならず、その様な財産をもっていなかった場合、もめる事が御座いました。
親子の仲が良ければ、この様な問題は生じないのかもしれませんが、親が再婚で、この息子と血のつながりが無いような場合などは、トラブルになりがちです。
結果、高齢の配偶者が家を手放さなくてはいけなくなり、住み慣れた家に住み続けたいという切なる思いも通らなくなってしまうことが御座いました。
そこで、新設された、この条文は、「居住権」と「所有権」を分けて考えることとし、配偶者には、「居住権」を、息子には「所有権」を与えることで、価値を共有するようなすみ分けをしたのです。
これにより、配偶者は、生涯、無償で住み続ける事が法的に認められました。
家の所有は、息子のものですので、いずれは返さないといけないのですが、現金が無いために住んでいた家を高齢で手放さなければいけないという目には遭わなくなったという事です。
不動産の対抗要件は、先週ご紹介した通り「登記」ですので、登記の手続は必要ですよ。