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期待権侵害に関して慰謝料

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「驚愕と狼狽の慰謝料」についての判例は、前橋地裁の事案です。

事案は、妊娠初期の妊婦について、風疹に罹っていることを見落とした検査担当医の過失を認め、異常児出産に至ったことに関し、慰謝料300万円が認められたというものです。

検査見落としの過失で損害が生じ、慰謝料が認められたという事案ですので、何も特別な判例のようには見受けられないかと思います。

しかし、よく考えてみると、検査で風疹を見落とした事と障害を負った子が生まれた事とは因果関係がありません。

既に中絶は出来ない時期でしたので、風疹罹患を伝えていたとしても、異常児出産は回避できなかったケースなのです。

こういう場合、裁判所は、因果関係無しとして慰謝料を認めない事が多いです。
Aという事実があればBという結果が生じるという確固たる因果関係が必要なのです。

では、今回のケース、何故、慰謝料を認めたのでしょうか。

それは、当該母親が、風疹と異常児発生の事に関心があり、かなり自分自身で調べ、知識をもった上で十分な準備もして医師に診断を求めたというように、「患者から医師への情報提供」が極めて適切であったところ、

信頼していた医師の診断に反して、先天性風疹症候群に基づく異常児の出生を知らされたわけです。

「先生、正にその事を心配してあれほど言っていたじゃないですか!!」

と、その精神的驚愕と狼狽は計り知れないものがあるとして、今回のケースでは、慰謝料300万円を認めたということです。

通常、因果関係が無ければ、損害賠償の対象にならないのですが、「驚愕と狼狽は計り知れない」という言葉を用い、一種の期待権侵害に関し、慰謝料を認めたという判例でした。

患者側が知識武装してくるのを嫌がる医師は多いですが、重要な場面では、自分自身でもきっちりと知識を蓄え、それを伝えておくというのは非常に大切な事だと実感させられる判例でした。

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