医療トラブル「近親者の慰謝料」について紹介したいと思います。
判例は、静岡地裁の事案です。
本人ではなく、近親者に対しても慰謝料が認められる場合がありますが、これには一定の傾向があるというお話しです。
今回の判例は、気管支拡張症患者で、その気管支を塞ぐ施術をしていた際に、説明が不足しており、手技も不適切で脊髄損傷という合併症を引き起こしてしまったというものでした。
本件は、担当医師2名を訴えたのですが、結果として被害者本人に1500万円の慰謝料が認められました。
そして、更に、
長年同居して、生活を共にしていた実兄に対しても200万円の慰謝料を認めたのです。
この同居の親族に慰謝料を認めるときの理由がいつも同じですので、今日はシンプルにその文言を紹介します。
裁判所の判断
「本人の障害は、死にも比すべき重篤なものであるから、同居していた親族も、民法722条の類推適用により、固有の慰謝料を請求し得るものと解するのが相当である。」
※民法722条
損害賠償の方法、過失相殺及び中間利息の控除について
本人以外の近親者に後遺症についての慰謝料を認める場合は、この「死にも比すべき」というキーワードが重要です。
単に、兄弟だから、同居の親族だからといって認められるものではないという事ですね。
因みに、慰謝料が認められる場合の金額は、200万円が妥当とされており、他の判例でも後遺症の近親者の慰謝料は、200万円になっていました。
この金額も覚えておくと良いですね。