「巻き添え事故」に触れたいと思います。
大阪で起きた、飛び降り自殺の巻き添え事故についてニュース報道がありましたね。
こういった、やりきれない事故のケースで、ご遺族はどんな補償を受けられるのでしょうか。
これが、交通事故なら、自賠責保険や任意損害保険の補償を受けられます。
ところが、巻き添え事故の場合は、そうもいかないのです。
実際、飛び降り自殺の巻き添え事故は、過去にも幾度となく起きています。
その度に問題になるのは「過失犯」というものです。
自殺をする人は、殺意が合って自殺することは稀で、巻き添えに遭った人がいても、殺人犯にはならない事が多いのです。
仮に殺人扱いとなった場合は。犯罪被害者給付金という制度があり、2000万円以上の遺族給付金が支給された事もあります。
ところが、ほとんどのケースで該当する「過失犯」の場合は、この給付金の対象とされていません。
重過失致死容疑で被疑者死亡のまま書類送検されるだけなのです。
「だけ」と申し上げましたが、被疑者は既に亡くなっていますので、
損害賠償債務は親など相続人に引き継がれます。
ただし、これは相続ですので、相続放棄が出来てしまうのです。
そうすると、法律構成としては、損害賠償請求が出来なくなってしまいます。
本当にやるせない話しですが、これが損害賠償実務の様です。
いろいろ手を尽くし、親の監督責任や今回のケースでも議論に挙がっていた様に、ビルオーナーの管理責任を問う等が考えられますが、非常に難しい主張ですし、賠償額もかなり低くなることが想定されます。
この「過失犯」の取扱いに関しては、自動車事故と同じ様に、国の補償も付けるよう議論されていく事を願いたいですね。