脱ハンコの流れで、婚姻届も離婚届もオンラインにする意向とか。
確かにオンラインは、便利ですし楽ですけど、簡単になった分、ハードルが下がるという事もあり、軽くみられる傾向も否めないですね。
デンマークでは、オンラインで離婚申請が出来るようにしたところ、離婚率が10%も上がったというデータも御座います。
何でも脱ハンコ、オンラインというわけにはいかなそうですね。
そもそも、初めて自分の意志でハンコを押したのっていつ頃だっただろうか。
ハンコを押す書類って、何か重要な書類な気がしますよね。
実際、押印を求められる書類は多く、法人、個人問わず重要な書類である事が多いです。
しかし、実は、ハンコに法的な効力は無く、ハンコ自体に特別な力はありません。
ハンコを押す重要な場面として、「契約」があると思いますが、ハンコが無くても本人の署名があれば契約自体、有効に成立します。
印鑑の法的効果を規定しているのは、民事訴訟法第228条4項です。
「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」
ここに、「署名又は押印」と記載されているように、ハンコが無くても署名があれば良いのです。
この様に、ハンコは本来不要であり、それが基本なのですが、例外として印鑑を押さなければいけない場合があります。
それは、遺言書です。
自署押印が原則で、押印が無ければ法的に無効とみなされてしまいます。
あとは、会社登記関係も定款、議事録など、押印が無いと無効とされるものがありますね。
いずれも権利や義務の重要な書類です。
このあたりから、重要な書類には印鑑を押すという風習が広まっているのだと思います。
因みに「ハンコ」というのは法律上の用語としては使わず、ハンコ=印章の通称です。
印章をつかって押印した影が印影。
その印影を契約などで照合するとき、印鑑という言い方をします。
ややこしいから「ハンコ」でいいですね。
我々が職務で使う内容証明通知書も当事務所では1枚1枚職印(契印)を押して文書を作成し発送手続きをしていますが、これもだいぶ昔から電子内容証明というものがあります。
非常に便利で良いのですが、何か味気ないと言いますか、やはり、同じ書類でも、重要書類として心を込めて「ハンコ」を押していきたいです。