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胎児に対する慰謝料

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胎児に対する慰謝料

被害車両が加害車両に追突されるという事故が起きました。

今回の論点は、運転をしていた被害者ではなく、後部座席に同乗していたご夫婦です。
当該ご夫婦には目立ったケガは無かったのですが、不幸な事にお腹の赤ちゃん(当時、妊娠36週)が死亡してしまったという事故です。

法律の建前としては、法人格を有する新生児と胎児の取扱いには区別を設けるものとされていますので、今回も未だ生まれる前の胎児に関しては、考慮されない可能性もありました。

ところが、妊娠36週で、既に正期産の時期に入っており、当時、胎児には何ら異常も無かったこと、現在の医療水準に照らし合わせ、胎児が正常に生まれて来る蓋然性が高いことから、新生児とほぼ変わらない、紙一重の状態と判断され、この子を亡くした両親の悲しみ、落胆は相当なものとして、
損害賠償額も評価されるべきという判断になったのです。

そして、慰謝料として母親に700万円、父親に300万円を認めました。

今回の判決は、単に出生前だから法人格なしといった杓子定規に決めるのではなく、既に生まれたも同然としてご両親の精神的苦痛を評価したところが大きなポイントですね。
ただし、父親と母親で400万円もの差をつけたことに関しては、
議論の余地がある判決でした。

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