民法改正、相続関係のお話しをします。
まず、遺言の方式
遺言の方式として「直筆証書遺言」というものがあります。
直筆証書によって遺言をするには、偽造改竄防止のため、遺言者が全ての文章や日付、目録、氏名を自身で書かなければいけませんでした。
しかし、財産目録等までも直筆となると、かなりの負担ですよね。
そこで添付書類に関しては、パソコンで打っても良い事となり、その際は、毎葉に署名と押印をすることと条文に明記されました。
財産の一覧などはパソコン作成もOKですよという事です。
これは、良い改定ですね。
あと、遺言執行者の任務の開始について
これもよくトラブルになる話しです。
実際に相続が始まる時に、何も指定が無ければ、相続人の誰かが仕切り、相続が開始される事になります。
ただし、相続人は本来皆平等な中、誰か一人が仕切るとトラブルになる事もあります。
そこで遺言執行者という役割を設け、被相続人が事前に指定することができ、相続財産を管理したり遺言を執行することが出来るのです。
これは、非常に良い制度で以前からあります。
しかし、これも実はトラブルの元になったりしていました。
何故なら、相続人にとっては、何処の誰だかわからない他人(大抵、弁護士や行政書士等士業の方)がいきなり、相続を仕切り始めるのですから、
「私達のこと何も知らないくせに」みたいな事になるのです。
また、相続が開始されたら、遺言執行者は、遅滞なく相続人全員に連絡をすると思いますが、「連絡しなければいけない」と明文化されていませんでしたので、その間に、遺言執行者の存在を知らない相続人が仕切り初めてしまう等という事も起きていました。
そこで、第1007条の1部改正により、
「遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。」
と明文化されました。
更に、遺言執行者は相続人のために動くのか、遺言者の利益の為に行動するのかが不明確であったために「遺言者の利益のために行動する」という事も明文化されました。
遺言執行者の行為を妨害してはいけないですし、違反行為があっても無効とするという条文も追加され、より遺言執行者の権限が強くなっています。
その方が相続が円滑に進むという事だと思いますが、その分、遺言執行者の選任は重要ですね。