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プライバシー権侵害の不法行為

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カウンセラーの守秘義務についてご紹介します。

事例: カウンセラーAは面接で知り得た相談者の私的な情報を相談者に無断で書籍に記載したことについて、相談者は、この書籍はプライバシー権侵害の不法行為に該当すると主張し、カウンセラーとその所属する会社と出版社に損害賠償として1000万円を請求しました。

これに対し、カウンセラー側は、本件文章は、抽象化して既述したものであり、不法行為に値しないと主張し、且つ相談者がこの記述を発見してから既に3年経っている事から時効を援用しました。

裁判所の判断:請求を棄却。

これは時効期間が経過していますので、不法行為としては消滅時効の援用で論外でしたね。

ところが、この事案は、当該メインの「主位的請求」だけでなく、債務不履行も同時に「予備的請求」として提起していたのです。

相談者は、カウンセラーを信頼して心の悩みを相談していたわけで、これは心理治療契約とも言うべき「契約」が締結されていたものと認められ、その契約の性質上、カウンセラーは、当然に相談者に対して守秘義務を負うと解したのです。
そして、その守秘義務違反は、債務不履行になると判断されました。

結果、この予備的請求が認められ、慰謝料50万円が認定されました。

慰謝料は、相変わらず少ないですけど、カウンセラーの守秘義務について判断した最初の判例と言われています。

ある一面から見ると時効などで駄目でも、多方面から検討してみると良いですね。

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