「名誉毀損」「うわさの拡散」について
最近のあおり運転のニュースで、茨城県常磐自動車道の事件は覚えていらっしゃいますでしょうか。
加害者男性の同乗者の女性も現場をガラケーで撮影することによって煽り、「ガラケー女性」と言われ有名になりました。
この事件、その後、このガラケー女性は誰だ?等とネットで広まり、事も有ろうか、全く無関係の女性が犯人として拡散されてしまったのです。
その拡散していた人の一人に愛知県豐田市の市議会議員がいる事が判明し疑われた女性は、その市議に対し慰謝料100万円を求める訴訟を起こしました。
当該市議は、自身のフェイスブック上にこの事件の男性の写真と全く無関係の女性の写真を掲載し、「早く逮捕されるよう拡散を御願いします。」等と書き込んだようですね。
被害女性は、悪質な拡散者を特定し、順次訴えていく意向なようなのですが、
当該市議は、公的な立場であるにも関わらず、事実確認もせずに積極的に拡散を試みた事が悪質として訴えています。
市議は「おとしめるつもりは無かった」等と釈明している様ですが、その様な拡散側の事情は通用しないですよね。
少々事案は異なるのですが、神戸地判の判決(平7・9・29)で、某大学教授が、ソフトを不正使用しているという噂が流れ、その疑いを払拭出来ずにいると、大学側が、その事実を大学広報誌に掲載し発行しました。
この事が名誉毀損に該当するとして、慰謝料50万円と謝罪広告を求める裁判が行われたのですが、この時は、この請求は認められず棄却されました。
理由は、「原告が不正コピーをしたと断定はしておらず、ほぼ事実に基づいた記述をしており、疑われている教授が原告を指すことが判らないように配慮されている。」からとの事でした。
今回の市議の投稿では、写真と共に実名を掲載し、犯人でない人を犯人と決めつけている点でアウトでしょうね。
後先考えない投稿には気をつけましょう。