お金の出し入れが多い時期に多発する「振り込め詐欺」についてです。
■ 振込詐欺のお金って戻ってくるの?
私は、息子が交通事故に起こして示談金が100万円必要だというので、慌てて指定の口座に振り込みました。ところが、それは振り込め詐欺だったのです。
他人事だと思っていましたが、実際に息子が事故に遭ったと聞くと動揺してしまって振り込んでしまいました。
このお金は取り戻す事が出来るのでしょうか?
はい、法律上は、勿論、可能です。
この場合、取り戻す先は2つありますね。
1)加害者(犯人)
まずは、犯人が特定されていれば犯人に対して不法行為に基づく損害賠償請求が出来ます。
ただし、詐欺の加害者は巧妙に情報を操作しており、犯人も単独ではない事が多いです。A銀行B名義の口座へ振り込むよう指示があったとしても、
そのBが加害者本人とは限りません。
他人名義や架空名義であることも多く、事実上、請求は難しいということも往々にしてあるかと思います。
2)銀行
そこで、請求する先として思い浮かぶのが、この振り込んでしまったA銀行。
このA銀行に対して、取り戻し請求が出来るかどうかですね。
B名義の口座ですから、本来は、BとA銀行の間のみで預金契約が成立しており、他の人がA銀行に連絡しても取り合ってもらえなそうですよね。
ところが、条件付きでBに代わってA銀行に払い戻し請求をする事が出来る場合があります。
それは、Bが所在不明で、この預金の他に財産として判明しているものが無い場合です。
正に、今回みたいな詐欺のケースですね。
こういった場合に、払い戻し請求権の代位行使が出来るのです。
この代位行使(本来Bが行使すべき権利を債権者(今回の場合、被害者)がBに代わってその権利を行使すること)は知っておきたい権利ですね。
まあ、その前に、振り込め詐欺には逢わないよう十分、注意をしましょう。