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婚約破棄・貞操侵害に関する判例

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婚約破棄・貞操侵害に関係する裁判例をご紹介します。

婚約破棄

婚約とは、「将来絶対結婚しよう。」という約束のことです。一度婚約が成立すると正当な理由もなくむやみに破棄することはできません。破棄したら場合によって相手方に慰謝料を支払はらわなくてはいけなくなります

では婚約が成立したというにはどんなことが必要なのでしょう。性的関係の有無、結納の取り交わしや婚約披露といったことは必ずしも必要ではありません。古い判例でも結納の取り交わしなど形式的なことは必ずしも必要ではなく、男女が誠心誠意約束することが必要と言っています(大判昭6・2・20)。このように将来正式に結婚しようとするお互いの合意は必要で、この意思は真剣なものでなければなりません。したがって一時の情熱にからこうれた約束などは婚約の意思があるとはみなされないこともあります。

ではどのような時に正当な理由があるとして婚約破棄が認められるのでしょう?またどんな時に慰謝料を支払わなくてはいけないのでしょう。以下判例を挙げます。

  • 高校在学中から相思相愛になり、卒業後お互い夫婦になることを約して肉体関係を結んだが、男性は別の女性と結婚。原告女性は婚約不履行による損害賠償請求をしました。裁判所は結納などの公然性を欠いていても婚姻予約が成立するとして、慰謝料10万円の支払いを命じました(最高昭38.12.20)。
  • 見合いをして婚約後、女性が男性の性交不能を理由に婚約破棄をしました。裁判所は性交不能が正当理由になるとし、原告男性の慰謝料請求は棄却されていま(高松高判昭46・9・22)。
  • 婚約した女性が婚姻前に相手男性から肉体関係を強要され、その後侮辱され精神的に苦痛を受けたことにより婚約を破棄し、慰謝料を請求しました。裁判所は婚約破棄の正当理由が認め、侮辱を受けたことを理由に慰謝料50万円を認定しています(高松高判昭46・9・22)。
  • 原告女性が差別部落出身であることを理由に婚約破棄された事件。裁判所は極めて違法性が高いとして相手男性及び男性の両親に連帯して500万円の高額な慰謝料支払いを命じています(大阪地判昭58・3.8)。
  • 結納を取り交わして婚約し、挙式及び新婚旅行の準備まで進め、女性は勤務先を退職、嫁入り道具まで買いそろえていたのに、突然一方的に婚約を破棄されたケース。裁判所は男性、男性の母親に連帯して原告の慰謝料請求全額400万円(財産上の損害を含むめると780万円)の支払いを命じています(徳島地判昭57・6・21)。
  • 原告女性はカトリック教徒、被告男性は仏教徒であり、このことは原被告とも婚約前から承知し、お互い教会での挙式も了承していたが、被告が突然翻意し、原告に改宗を迫り、遂に婚約破棄に至ったケース。裁判所は、婚約当事者は婚約にあたって了解された事項をお互いに確認し尊重し理解を増進する義務を負うところ、被告はその義務を履行することなく婚約を破棄しており、婚約破棄の正当な理由がないとして慰謝料30万円の支払いを命じています(大阪地判42・7・31)。
  • 原告が韓国人であることを理由に婚約を破棄された事案。裁判所は正当理由をみとめず慰謝料150万円の支払いを認定しています(大阪池判昭58・3・8)。

◎貞操侵害

婚約が成立したら結婚にむけて誠実に交際し、結婚を成立させる努力をする義務があります。この義務に違反した場合、またこの関係を知りつつ破壊した場合、慰謝料支払わなくてはいけなくなることがあります。また婚約がちゃんと成立していなかったという場合でも、成立すると期待させるような状況があったときは慰謝料請求が認められる場合があります。以下どのような場合に慰謝料が発生するのか判例を挙げます。

  • 原告の女性は被告男性の「妻と別れて結婚する」という言葉を信じて情交関係を結び、出産、その後遺棄されました。そのため原告が慰謝料を請求。本件では婚約が成立していたかは不明であり、また原告女性は相手に妻子があるということを知っていました。しかし最高裁は女性がまだ19歳で異性の体験がなかったこと、情交関係を誘起した責任が主として男性にあり、女性の不法の程度に比し、男性の側における違法性が著しく大きいと評価できるときは慰謝料請求は許容できると判示し60万円の支払いを認めました(最判昭44・9・26)。
  • 原告男性の婚約者と被告男性が性的関係を結んだため婚約が破たんに瀕せしめた事件。婚姻関係は解消されてはいませんが、婚約当事者の法的地位の侵害があったとして裁判所は被告に50万円の慰謝料支払いを命じました(大阪高判53・10・5)。
  • 被告女性は原告男性と見合いして婚約後、他男と性交渉を持ち懐妊したが、そのことを原告に隠して結婚し、出産。原告男性は生れた子に対する親子関係不存在確認の訴えと被告女性に対し慰謝料請求しました。裁判所は婚姻関係を形成、維持するよう誠実に努力する義務を怠ったとして被告女性に慰謝料100万円の支払いを命じました(甲府地判昭55・12・23)。
  • 原告女性は被告から「妻とはうまくいっていない。いずれ君と結婚したい。」と言われ、約4年間情交関係を継続、その結果3度妊娠し、流産、中絶を繰り返し、結局原告は被告と別れました。その後原告が被告の子を妊娠したことが発覚すると、被告は中絶させるため情交関係を復活させたり、詐術を用いるなどし中絶させた。そこで原告は500万円の慰謝料請求。裁判所は被告が妻帯者であることを認識していた以上、結婚の期待を抱かせる言動があり、それが実現されなくても不法行為にはならないが、別れた後、結婚する意思があるかのような態度を示し中絶を求めることは許されないとして慰謝料250万円の支払いを命じました(東京地判59.2.23)。
  • 被告男性は原告女性と結婚紹介会社を利用して知り合いました。被告は結婚する意思がないにもかかわらず、あたかも結婚を検討しているかのように装いつつ継続的に性的関係を維持。原告女性は結婚できるかもしれないと誤信して付き合いを継続し、その結果初めて身ごもった子の妊娠中絶を強いられました。そこで原告は人格権、貞操権の侵害による慰謝料請求。裁判所は慰謝料300万円の支払いを命じました(東京地判平8・6・7)。

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