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内縁の破棄に関する判例

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内縁の破棄に関係している裁判の判例をご紹介します。

内縁とは事実上夫婦として生活し、世間からも夫婦として認められているにも関わらず、婚姻届を提出していないことから、法律上は夫婦として認められていない関係をいいます。世間から夫婦として認められている点で同棲と異なります。

日本では内縁関係も婚姻に準ずる関係として法律上保護が与えられてきました。例えば夫婦間の同居・協力・扶助の義務、婚姻費用の分担、離婚の際の財産分与などについては内縁関係でも認められます。また浮気をしてはならないという貞操義務についても認められます。さらに既婚者であることを知りながら法律上の夫婦の一方と内縁関係にある場合これを重婚的内縁といいますが、このような重婚的内縁でも内縁破棄を理由とする損害賠償請求が認められることがあります。この場合内縁関係に至る経緯等を考慮して実質的に判断するのが判例の流れです。

内縁関係に関する慰謝料の額は昭和50年代までは10万円程度と少額でしたが、それ以降平成にいたると100万円単位に増加しています。これは家族意識の希薄化や、夫婦平等の意識から婚姻届を提出しないで内縁のまま生活するというライフスタイルの変化が表れているといえます。以下内縁関係に関する判例を挙げます。

  • 原告女性は被告男性に妻子があることを知っていたが、将来結婚するという約束のもとに内縁の夫婦として同棲を開始しました。しかし被告が前妻とよりを戻して再婚、原告は内縁関係を不当に破棄されたとして慰謝料請求をしました。裁判所は重婚的内縁関係も法律上保護に値するとして慰謝料40万円の支払いを認めています(東京地判昭12.25)。
  • 結婚の約束をして2年弱の間同棲をしていたところ、原告女性が宗教団体に入信したため家事を疎かにする傾向にあった。このため被告男性は女性に信仰を止めるよう忠告したが、止めなかったため原告女性を追いだすなどしました。原告女性は婚姻予約不履行を理由として慰謝料請求。裁判所は破局を招いた原因が原告の信仰にあることを否定しませんでしたが、原告の信仰に傾倒した事情を加味し、信仰を理由に婚姻予約を破棄することに正当な理由を認めることはできないとして、慰謝料100万円の支払いを命じました(京都地判昭1.28)。
  • 原告女性は被告男性と見合いした際、被告が「妻子とは別居しており、子供の就職結婚が済めば妻と離婚する合意ができている」と言ったので、これを信じて事実上の夫婦として同棲生活に入った。しかし5年9カ月後被告は原告との同棲生活を解消し、妻との同居を再開しました。そこで原告女性は精神的苦痛を被ったとして慰謝料を請求。裁判所は、被告が妻と別居して7年経過していたこと、将来離婚する合意とその念書があったことから、被告に妻があっても婚姻予約が成立していたことを認めました。そのうえで被告の責任を認め慰謝料80万円の支払いを命じました(大阪地判昭6.24)。
  • 法律上妻のある男性と重畳的内縁関係にあった原告女性が、内縁の夫と、夫と肉体関係を持った女性に対して内縁関係破壊の不法行為を理由に慰謝料請求をしました。裁判所は、内縁の夫が妻と離婚するなどと原告女性に説明し、女性がその言葉を信じて内縁関係を継続してきた経緯から、内縁関係を法律上有効としました。そのうえで内縁関係を不当に干渉することは許されないとして慰謝料200万円の支払いを命じました(東京地判昭3.25)。
  • 原告女性は被告男性から妻とは離婚するといわれ性的関係を結び、子をもうけ、以後30年あまり内縁関係を継続してきました。そのうち被告は原告に生活費を支払わなくなり、絶縁状態になりました。そこで原告は婚約不履行ないし内縁不当破棄を理由に慰謝料請求をしました。裁判所は交際状況を具体的に認定し、重畳的内縁関係でも妻との婚姻が形骸化しているときは法的保護に値するとして1000万円の慰謝料支払いを命じました(東京地判平7.18)。慰謝料が高額なのは資産状況を加味したとみられます。
  • 男性に妻があることを知りながら情交を結び、内縁関係に入った女性から男性に対し、内縁関係の不当破棄を理由とする損害賠償請求がなされました。原告女性は妻があることを知っていましたが、妻と別れて結婚するという被告の言葉を信じて肉体関係を持ち、被告の子供を出産しましたが、突然一方的に内縁関係を破棄されました。裁判所は原告の主張を認め、慰謝料300万円、弁護士費用30万円の支払いを命じました(京都地判平10.27)。
  • 原告女性は、妻子ある被告男性と交際,子どもも設けました。被告男性は、妻との離婚調停が申し立てから原告女性と完全に同居。その後3年ほど経ってから宗教に傾倒して別居、男性は別の女性と結婚しました。そのため原告は婚約不履行及び不法行為に基づく慰謝料請求をしました。裁判所は重畳的内縁関係が保護されるためには法律上の婚姻関係が形骸化していることが必要として、本件で形骸化を認定し、内縁関係を3年と認定しました。その上で内縁の妻の意向を無視して、一方的に内縁を解消した点に悪意の遺棄を認定して慰謝料400万円の支払いを命じました(大阪高判平7.30)。財産分与請求も合わせてなされていますが、裁判所は一般論として内縁関係に基づく財産分与を認めつつ、専属管轄がないことを理由に却下しています。

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