親告罪の告訴については『告訴不可分の原則』と言うものがあります。
このうち犯罪事実に関するものを告訴の客観的不可分の原則といいます。共犯に対するもののことを告訴の主観的不可分の原則といいます。主観的不可分の原則については、刑事訴訟法自体に明文の規定はありますが、客観的不可分の原則については、明文では無く、法律理論上で認められているものになります。
客観的不可分の原則とは
この犯罪事実の1部分について告訴及びその取り消しがあった場合については、その効力は犯罪事実の全部について生じます。単純一罪については、この原則がそのまま当てはまりますが一部の例外もあります。
主観的不可分の原則とは
親告罪について共犯者(共同正犯・教唆犯・従犯・必要的共犯も含まれます) の1人または数人に対して告訴または告訴の取り消しがあった場合には、その告訴または告訴の取り消しは、他の共犯者に対しても効力を生じます。この原則は、絶対的親告罪については常に該当しますが、相対的親告罪には当てはまりません。何故かと言うと、共犯者中の1部の者が被害者と身分関係を有する場合、身分関係のないものに限定して行った告訴の効力については、身分関係にある者には及ばないとされています。しかし、共犯者全員が被害者との間に身分関係を有している場合には、主観的不可分の原則がそのまま適用されるのです。